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自分の居場所

By Ken

 

滞在場所:ニューヨーク州

滞在期間:5年

学年:高校3年生

 

僕が住んでいた町は、いま思えば恵まれた環境だったと思います。公園、レストラン、アジアの食品店、ショッピングモールなどが自分のすぐそばにあったの で、生活に不自由することはありませんでした。パトカーの音もあまり聞くことはありませんでしたし、住民は温かい人たちで溢れていました。
ただ、学校の環境は町とは関係ありません。一歩でも学校に足を踏み入れると、そこには別世界が広がっています。何よりも先に自分の居場所を確保しないといけない。僕は本能的にそう思いました。

 

自分の居場所とは、決して教室、校庭といった物理的な場所ではありません。学校という社会での立ち位置、と表現した方が正確でしょうか。そんな居場所の作り方は、2つあると思います。
一 つ目は、周りとの関係です。ランチで一緒に食べる人、外で一緒に遊ぶ人、帰りのスクールバスで隣に座る人。周りから認知されることで、僕は自分の居場所を 確かなものにしていきました。もちろん初めは誰も知らないし、なにしろ言葉が通じません。でも優しい人たちからアプローチしてくれたおかげで、自然と友達 の輪が広がっていきました。
二つ目は、自分が他より優れているものを探すことです。これは少なからず一つ目と繋がっています。僕の場合、 最初に発見した強みは算数でした。英語は全然わからなくても、九九は世界共通なのです。その後、学校生活の中で体育、学業、バイオリン(オーケストラ) と、自分の強みをどんどん見つけていくことで、アイデンティティーを確立していったのです。

 

僕がアメリカから去る頃には、あらゆる友達ができていました。朝の授業が始まる前のちょっとした時間を過ごす友達。授業中、2人でこっそりお菓子を食べる 友達。お昼休みにサッカーをして遊ぶ友達。学校の全員が友達と言っても過言ではないでしょう。ああ、アメリカに帰りたい。日本に戻った後、僕はこう思い続 けていました。

 

僕のアメリカでの生活は、幸せに満ち溢れていました。でもそう思えるのは、僕が無邪気な少年で、何事もすんなり受け入れる事ができたからだと思います。あ る意味鈍感だったのでしょう。まあ飛行機で永遠とも思えた13時間を座り続けて降り立った土地が言葉も習慣も全然知らない所だったら、全てが違って当たり 前、と思わざるをえないのではないのでしょうか。その時僕の中を支配していた感情は、恐怖なんてものではなく、純粋な好奇心でした。

 

 

 

これから世界へ羽ばたく人へのメッセージ

―"You must be shapeless, formless, like water. When you pour water in a cup, it becomes the cup. When you pour water in a bottle, it becomes the bottle. When you pour water in a teapot, it becomes the teapot. Water can drip and it can crash. Become like water my friend." (Bruce Lee)
自分の周りがこの世界の全てではありません。世界のあらゆるところで、自分の居場所を作ってみてください。すると、色んなことが見えてきますよ。

 

 

 

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